今年の6月から、BARで働きはじめて色々なことが知らされる。
10代の頃より東京にいた為、夜の街の代名詞と言えば歌舞伎町が真っ先にあがるが全国には大小はあるがそのような場所が必ずどこらかにある。
私の働くBARもそのような店が立ち並ぶ一画にある店で、とある県庁所在地の繁華街だ。
ある時、この街で働く女性を取材してみたいと思い色々な人にお願いしてみた。
今回応じてくれたのは、21歳の凛々子さん(仮名)である。
凛々子さんは大学生活の傍らキャバクラで働いている。
なぜキャバクラで働いているのかの、質問の第一声が、「ホストクラブにハマったから」という返答だった。
私はこの歳までホストクラブに行ったことはない為、その手の店の料金システムにはまったくの無知である。
もちろん各店舗によって違いはあるだろうが、凛々子さんの話をざっくり表すとこうである。
最初は1000円でよかったそうだ。
次に行ったときは10000円かかった、そこから推しホストができると、そのホストの為にシャンパンなどを入れた為、3回目で100000円となる、見事なほどゼロが増えてゆくわけだ。
その時の凛々子さんの心中はどうなのですか?と聞くと、楽しいし、喜びであり、必要とされているという思いが勝ったそうだ、
やがてその推しホストと付き合うようになり、そのホストの為にもっとお金を稼ぎたいと自分の身体を売ることまで考えたという。
そして一番驚いたのはそのホストと二人でリストカットをしあっていたということだ。
闇に堕ちていったんですかね?・・・・と声はいたって静かに凛々子さんは言う。
どこまで堕ちてゆくのかと私はドキドキしながら、凛々子さんの話しを聞いていたが他の人の助言もあり、凛々子さんは身体を売ることもなく、やがてそのホストは消えていったのだそうだ。
私は凛々子さんにそのリストカットの痕を見せてもらった。
なぜ、腕を切るのですか?の質問に凛々子さんは「温かいから・・・・」と答えた。
そして続ける リストカットするときは自分が冷たいというか生きている感じがしないという。ジンジンとする痛みに明日生きようという力が湧いてくるというので、リストカットをやめられなかったというのだ。
いつ頃からリストカットをするようになったのですか?
小学校5年からですね・・・・・
その腕は写真撮らせてもらっていいですか?という無神経な依頼にいいですよと明るく答える凛々子さんに私は少し感動した。
それは、凛々子さんはリストカットしていたこともまったく恥じていないし隠そうとも思っていない、これが自分の生きてきた証だからというように写真のアップもどうぞどうぞと笑って言ってくれた。
笑顔がすごくかわいくて、お人形さんのようなくりくりした目の凛々子さんが
なぜリストカットしようと思ったのか・・・・・・